下処理をしないまま調理できないことはないのですが、えぐみが残ったり、味がしみこまなかったりで、やはり「美味しい里芋」を目指すならある程度の下準備は欠かせないでしょう。
今回は一般的な里芋の下処理法をご紹介しますので、例えばいつも作る里芋の煮っころがしがいまいち美味しくないなど悩みがあるようでしたら、下処理方法を変えて再チャレンジされたらいかがでしょうか。
里芋の下処理の必要性
里芋はとてもクセがある野菜で、同じ粘りがある山芋が生で食べられるのに対し、里芋は必ず火を通さないと食べられません。
里芋の下処理をする主な理由は、里芋独特のぬめりを取ることです。
ぬめりをわざと残して調理してもよいのですが、ぬめりが多いとそのせいで熱伝導率が悪くなって味が染み込みにくくなります。
また煮汁がにごったり、粘りが出たりもしますから、自分で食べる分には構わないかも知れませんが、お節用など見た目をきれいに作るためにはやはり下処理は必要です。
さて下処理をする場合、いろいろなやり方のパターンがあるのを御存知でしょうか。
そのなかで今日はもっとも一般的に知られている方法をご紹介しますが、
その前に、里芋が泥つきの場合の皮の洗い方をまずさっと見ていきましょう^^
里芋の皮の洗い方
畑から取ってきたばかりで泥がそれこそいっぱいついている場合には、家に持ち込む前に外で大きな泥は落としておきましょう。
保存方法については前ページでお伝えしていますが、大量にある場合、今回使う分だけを洗うようにしてくださいね。
たくさん洗わなくてはいけないときには、桶などに水をため、そこにゴロゴロと里芋をいれ、攪拌させながら水を何度か取り替えると泥がよく取れます。
ですが、このやり方だとかなり時間がかかりますので、家庭で作る程度の量でしたら、ふつうの亀の子だわしなどで、流水の下で洗いながらこすって落とすのがおすすめです。
きれいに洗ったあとは、皮をむいて均等に食べる大きさに切ります。そして以下のいずれかの方法で下準備します。
里芋のぬめり取りの方法
里芋の下処理が必要なのは、主にぬめりを取る目的だとお話しましたが
一番手っ取り早いのは、里芋を剥いて食べる大きさに切ったものに塩をまぶし、揉みながら表面のぬめりを取る方法です。
火にかけることなくぬめりがある程度取れるので、
☆お味噌汁
☆煮っ転がし
などの、見た目ができあがりにそれほど影響しないお料理や、ある程度の粘りやぬめりを残したいお料理に向いています。
一方筑前煮や含め煮など、里芋のきれいな姿を残したいお料理では、その次の段階の「下茹で」までやってください。
里芋を皮を剥いて食べる大きさに切る
ボールに里芋をいれ、塩を多めにふりかけ (里芋200グラムに対して大さじ1くらいを目安に)
塩の摩擦で里芋の表面を擦る感覚でぬめりを取る。
流水で芋を擦り合わせる感じで塩と里芋表面のぬめりをよく洗い流す
一番手っ取り早く、お湯を沸かす時間を考えなくていいので時短になります。
お味噌汁や煮っ転がしで汁にとろみをつけたいときには、この状態で味付け調理に入ります。
一方、さきほどもお伝えした通り、汁にとろみをつけたくない場合や、汁を濁したくない料理には、下茹でをしたほうが出来上がりが見た目よくなります。
その場合は「塩もみ→流水で洗う」のあとに下茹でをしてください。
里芋の下茹で方法
下茹でには、1.塩もみをせずにそのまま水からゆでる方法、2.上記のとおりに一度塩で揉んで流水でぬめりと塩を洗いながした後に水からゆでる方法があります。
2番の方法で下処理をしたほうがぬめりはより取れますので、
ぬめりをどれだけきれいに取り除きたいかで使い分けるといいと思います。
鍋にたっぷり目の水を入れ、食べやすいサイズに切った里芋をいれる
強火で火にかけ沸騰させる
沸騰後は弱火~中火にし、希望の固さになるまで茹でる
茹でた後はざるにあげ、流水でぬめりを取りながら里芋を洗う
※非常に吹きこぼれやすいので鍋から目を離さないほうがよいです
もうひとつ、別の下茹で方法をご紹介しましょう。
仕上がりをよりきれいに調理したい場合には、米粒をひとつまみ鍋にいれて水から下茹でをするとよいのです。
お米のとぎ汁でも同じ効果が得られます。
この理由はお米にはデンプンがもともと含まれていますが、デンプンは水とともに加熱すると粘り気を出すという性質を利用したもので
この粘り気が、1.里芋のアクを吸着し 2.里芋にもデンプンがしみこむことによって里芋がくずれないように保つ効果があるのです。
お湯だけで茹でこぼしをするか、お米を入れて茹でこぼすかは好みですが、より色にこだわってきれいに作りたいお節の筑前煮などは、お米でゆでる方法のほうがきれいにできると思いますよ。
鍋にたっぷり目の水を入れ、食べやすいサイズに切った里芋をいれる
生米をひとつまみいれ、強火で火にかけ沸騰させる
沸騰後は弱火~中火にし、希望の固さになるまで茹でる
茹でた後はざるにあげ、流水でぬめりを取りながら里芋を洗う
※非常に吹きこぼれやすいので鍋から目を離さないほうがよいです
いずれの方法でも、茹でたあとは一度ざるにあけ、流水でぬめりを落としてから、他の材料と一緒に調味料で煮てください。
里芋の下茹で時間
里芋の下茹での時間は、作りたいお料理によって変わるので一概には何分ということが言えないのですが
ぬめりやアクをとりたいだけの場合には、水から茹ではじめて沸騰してすぐ火を止め、流水でぬめりを洗い流すだけでかなり取れますので、一般的なレシピの多くがこちらを使っているようです。
一方、本格的な筑前煮など、材料の見た目や歯ごたえにこだわりたい場合は、スッと竹串が通るくらいまで茹で、流水でぬめりを洗い流します。
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